第6話「ジェントルマンしみうさ」

『海辺の街のしみうさ』

しみうさはジェントルマンになってすきねこちゃんをエスコートしようとするのだが…

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慣れないことはするものではないということですね♪日ごろの鍛錬があってこそ、イザというときの自然なエスコートができるというものです☆彡

館主の本だな

バルダッサーレ・カスティリオーネ(Baldassare Castiglione, 1478-1529)が、1528年に『宮廷人』(Il libro del cortegiano)を著して高貴な人間が振る舞うべき行動様式を規定すると、これによって近世・近代ヨーロッパ社交界おけるジェントルマンの理想像が完成しました。

本著では、女性のエスコートは言わずもがな、身に着けるべき習い事や、食事の作法、詳細な服飾規定なども細かく定められ、それを貴族たちは「さりげなく」振る舞うことを求められました。正しくマナーを守っても、汗水流した「必死さ」が滲み出はエレガントではないというのです。

漫画1ページ目のしみうさの妄想では、しみうさが右手に手袋をもち、すきねこに対して左手を差し出していますが、これもマナーに基づいたものです。レディをエスコートするときに手袋をつけたままだったり、右手を差し出してしまっては上流階級では顰蹙をかってしまうのです。

「なぜこれらの行為がマナー違反なのか?」という由来も色々と言われています。しかしにその由来は、時代と共に形骸化してゆき、もはや

『マナー本』に「マナー違反」と書いてある故にマナー違反である

という一点に尽きるほど形式化されていくことになります。たとえば現代社会において「手袋のマナー」が形だけでも守られるのは、結婚式などの重要セレモニーにおいてだけに過ぎません。

なお本書の邦訳は、1987年に東海大学古典叢書から出版されていますが、久しく絶版で手に入りません。しかしイタリア語原著と、英訳は既に著作権が切れておりインターネット上で様々な版本が公開されています。

原著:

英訳:

本書は現代からすれば時代錯誤そのもののマナー本ですが、ヨーロッパ社交界の基本図書であったという影響を鑑みれば、文化史的な側面からは大いに興味をそそられる逸品です。

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