第3話「しみうさの出待ち」

『海辺の街のしみうさ』

大好きなすきねこちゃんと話す機会がどうしても欲しいしみうさは、校門の木陰に隠れて出待ちするが…。

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館主の本だな

紀元後2世紀にプトレマイオスによって『アルマゲスト』が著されたことで、天動説に基づいた宇宙の運動体系の解明は、一つの完成を迎えることになります。それからコペロニクスが登場する16世紀までのあいだ、本書が宇宙論の基本図書として読まれ続けたことになります。邦訳も全訳が出ています(ただし正確な訳ではないとよく言われます)。

『アルマゲスト』だけを説明した一般向け概説書というのは管見の及ぶ限り確認できませんでした。けれども、次の三書はコペロニクス以前の天文学の流れを追う概説書としてよく纏まっていると思います。

さて、天動説は、本来は地動説である宇宙の構造を、無理に地球中心の構造に当て嵌めたため、太陽系惑星が極めて複雑な軌道を取ることになります。地動説と天動説とにおける惑星軌道の比較したアニメーションがありました(左が地動説、右が天動説)。

Youtubeにも、天動説に基づいた天体モデル動画が複数あり、見ていて飽きません。

日本語の解説動画もありました。

これからも解るように天動説に基づいて惑星の軌道を求めるには、とても複雑な計算が必要になります。

ところで、惑星の位置を正確に予測できることは、地球のどの位置に自分がいるのか割り出したりすることを可能にします。これは実用の面からは、より正確な地図を作り出すことを意味します。

15世紀に大航海時代がはじまると、海の上で自分が何処にいるのかを把握するために、より精密な天文表(星の位置を予測した表)や地図が求められました。

陸上や沿岸部とは異なり、海原の真ん中では目印となるものが無いため、容易に自分の位置を見失い遭難してしまう危険があるからです。しかし、天動説は実際の宇宙の動きとは全く異なっていたため、どうしても精密な天文表や地図が作れず、航海士たちは自分たちの正しく位置を割り出すことが出来ず苦労していました。

このような中で、コペロニクスが地動説を発表して宇宙のスケールを単純化したこと、そしてケプラーが楕円軌道(それまでは真円軌道だと思われていた)を発見したことで、実用面から緻密な天文表と地図の制作が可能になりました。

このとき、ようやく理論と実用の両面から地動説は天動説を凌駕したのです。これは『アルマゲスト』が著されてから1500年もの後のことです。それほどまでに本書が人類に与えた影響は絶大なものであり、科学史を語るうえで欠かせない重要典籍です。

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